歯周病治療

歯周病について

綿密な診査を行って,歯周病の実態をつかみ,原因を明確にし除去していく原因除去療法が基本です。
初診時には、プラークの付着状態、ポケットの深さ、歯槽骨の吸収程度、歯の動揺,歯肉の炎症状態、咬合状態を診査します。それをもとに診査結果、処置内容を具体的にお話します。

歯を失う最大の敵「歯周病」を知ろう!!

歯を失う原因

平成17年の財団法人8020推進財団調査によると、日本で歯を失う最大の原因は、歯周病という結果がでています。また、20歳までは虫歯だったものが、30歳を過ぎたころから、歯周病に取って代わります。現在、日本では30歳代の約8割が歯周病にかかっていると言われ、「35歳以上の約70%が、虫歯ではなく、歯周病が原因で歯を失っている」と報告されています。50歳代を境に急速に自分が失われていることがわかっています。実はこの要因として、歯周病が大きく関与しています。加齢とともに減少するものの55歳を変曲点として、現象が強まる傾向があり、この要因を分析したところ、50歳後半から重度の歯周病患者の割合が大きくなっているという結果が判っています。つまり、歯を失いたくなければ、「歯周病」を予防することができれば、最悪の事態を回避することができると言っても過言ではないのです。

歯周病って?

歯垢(プラーク)の中の歯周病菌が、歯ぐき(歯肉)に炎症をおこしたり、歯根膜(歯と顎の骨を連結している膜)や歯槽骨(顎の骨のうち歯を支えている部分)を溶かしてしまう病気のことをいいます。もしかすると、「歯槽膿漏(しそうのうろう)」の方がなじみのある言葉かもしれません。歯槽膿漏とは重度の歯周病の症状のことをいいます。

歯周病のサインを見逃さないで!!

歯周病は沈黙の病気と言われていて、むし歯とは違い、症状を外から見ることができない厄介な病気です。普段から気をつけるようにして、歯周病のセルフチェックをすることをおすすめします。

チェックポイント

  • 歯をみがいた時に血が出る
  • 歯肉の色が赤い
  • 歯肉がむずかゆい
  • 歯と歯肉の接しているところが赤く腫れている
  • 朝、口の中が粘る
  • 歯の臭いが気になる
  • 歯が長く見える
  • 噛むと痛い
  • 食べ物が噛みづらくなった
  • 歯肉からうみがでる
  • 歯みがきは1日1回、1分程度
  • 歯科医院で定期健診を受けていない
  • 歯がぐらぐらする
  • 歯と歯の間にすき間ができた

 

なぜ歯周病が怖いのか!

全身の病気への影響度が高いことをしっかりと知ってほしい

歯の少ない人ほど、医療費が高いという相関関係があることが、色々な行政の調査で判っています。歯は食べ物が初めて出会う「消化器」であるだけに、歯を失うと、からだ全体に及ぼす影響が高いのです。さらに、歯周病が全身のさまざまな病気に関わっていることがわかってきています。
歯周病菌が全身の病気を引き起こす理由は、歯肉にある豊富な毛細血管にあります。
歯周病原因菌が歯肉組織まで侵入してくると、豊富な血管に入り込み、血液を介入して全身にまでまわります。その結果、身体の各部にまで、病気を発症させることになるのです。

関連性が問題となっている病気

脳   :認知症・脳梗塞
心臓:細菌性心内膜炎・心筋梗塞・狭心症
血管:動脈硬化
肺   :肺炎
子宮:低体重児出産・早産
その他に、糖尿病・がん・骨粗鬆症・バージャー病・HIVなどに関連性があると証明されています。

 

歯周病には段階があることを理解しよう

歯周病はその進行の度合いによって、「歯肉炎」と「歯周炎」に分けられます。歯周病の治療では、特殊な器具で、歯周ポケットの深さを測ったり、歯石(歯垢を放っておくと唾液のミネラルを吸収して硬くなること)の付着程度を調べたり、歯槽骨がどの程度なくなっているかを調べます。初期症状(歯周ポケットが3mm程度)なら、ブラッシングと歯石除去によって健康な状態を取り戻すことができるのです。

Ⅰ期 歯肉炎 Ⅱ期 軽度歯周炎
歯周病菌の出す毒素などで歯ぐきが腫れ、むずむずする。赤く腫れるが、見た目ではまだ判りづらい。 歯周ポケットという溝ができ、歯垢や歯石がたまる。歯ぐきから出血したり、膿が出ることも。同時に徐々に歯槽骨が溶け始める。
治療
方法
歯の周りの歯垢や歯石を取り除き、毎日規則正しく丁寧にブラッシングを行う。 治療
方法
歯周ポケットの周りの歯石を取り除き、ブラッシングやマッサージを行う。
Ⅲ期 中等度歯周炎 Ⅳ期 重度歯周炎
炎症が奥まで進み、歯ぐきはブヨブヨした状態になり、血や膿が出て、口臭もひどくなる。歯槽骨がかなり溶けて、歯がぐらついてくる。 歯周病の末期症状。歯槽骨がほとんどなくなって、歯根が露出する。ものを噛むことができず、歯が抜けることも。
治療
方法
ブラッシング・マッサージ・歯石の除去と、必要に応じて歯周外科手術を行う。 治療
方法
歯の保存は難しく、抜歯になることが多い。

 

なぜ定期健診・歯周病予防が必要なのか?

  • 歯周病の早期発見による治療が可能になります。
  • 前回の症状と比較することで、的確な治療方法が提案できます。
  • 症状にあったブラッシング指導ができます。
  • ブラッシングだけで取れない歯石を取り除くことができます。
  • 歯周病は全身へ様々な影響を及ぼす怖い病気です。かかりつけ医を持つことで、他の病気との関係性をしっかり把握できます。(高血圧の薬などある種の薬には歯周病を悪化させるものがあります。)

 

生活習慣の改善で歯周病のリスクファクターを取り除く

喫煙

歯周病の最大のリスクが喫煙です。タバコは歯ぐきの毛細血管に循環障害を生じ、歯にヤニや汚れが付き、歯石になります。

よく噛むこと(肥満防止)

満腹感が得られ、食べ過ぎないことやよく噛んで食べると唾液がよく出て口の中をきれいにする効果があります。

ストレスの解消

歯ぎしりの原因になったり、免疫力の低下にもつながります。できるだけストレスを軽減しましょう。

しっかり身につけよう セルフケアの仕方

歯周病の最大の原因は、歯垢です。歯垢を的確に取り除くセルフケアを見につけましょう。歯ブラシだけではなく、デンタルフロスや歯間ブラシも使用しましょう。

歯の健康を守るブラッシング ~正しいブラシのあて方~

下の奥歯の裏側のあて方 歯と歯肉の境目のあて方
内側の歯ブラシのあて方 外側の歯ブラシのあて方

歯石がたまりやすいのはここ!

歯と歯ぐきの間、歯と歯の間、噛む面の溝などが歯垢がたまりやすいところ。特に注意して磨きましょう。

 

歯周病予防の必要性をもっと広めるお手伝いをお願いします!!

歯科医院からのお願いです。全身の病気に影響を及ぼす歯周病は、早期発見することが最大の予防につながります。実は歯周病は30代から注意が必要な病気で、ご子息を中心に周囲にいる方も歯周病にかかっている危険性を持つ病気です。特に女性の方は、女性ホルモンの影響を受けるため、妊娠中の歯周病は早産・低体重児につながる危険をもっています。また、更年期にもホルモンバランスが崩しやすく、免疫力低下になりやすいため注意が必要です。歯周病にかかっているから判る苦しみを周囲の方に伝えることで、歯周病予防の必要性を広めていくご協力をお願いできればと考えています。

充実したシニアライフを応援します。

充実したシニアライフを過ごすために最大の関心事である「健康邁進」。
そしてシニアライフの楽しみとして人気のある「家族での食事」、「外食」、そして「旅行」をより有意義なものにするには、「歯」の果たす役割は非常に高いのではないでしょうか。
今までの日本の時代の中心を担ってきた団塊の世代の方に、充実したシニアライフを過ごして頂きたいから、歯についてもっと知って欲しい知識があります。かかりつけ医の歯科医院として、歯に関する知識を発信することで、皆様の充実したシニアライフを応援します。

団塊の世代の方は、今まで仕事が忙しく、また日本の保険制度の弊害として、治療でしか歯科医療を受けることはありませんでした。そうした団塊の世代の方も定年を迎え、少しずつ予防のために歯科医院を訪れはじめてきています
これからのシニアライフを充実したものにするには、大切なことはもちろん「健康」です。その健康を支える上で重要な役割をする「歯」について関心を持って頂き、予防を心掛けていくことで自分の歯を守り、快適で豊かな生活を送って頂くことを、歯科医院では全力でサポートしています。

スケーリング症例

治療前 治療後

歯周病の初期治療です。菌の塊である歯石を取り除きます。赤く腫れて炎症を起こしていた歯ぐきも落ち着きました。